小児科医局の紹介

診療グループ

アレルギー・免疫・リウマチ性疾患グループ

グループの紹介

アレルギー・免疫学・リウマチ学は、当科において以前から臨床および研究に力を入れている分野の一つで、山口県から世界に向けて情報を発信しています。診療は主に安戸、脇口、岡﨑および中村が担当しています。

免疫不全症およびリウマチ性疾患における比較的稀な症例、あるいは難治性の症例に関しては、全国の施設との連携しつつ、皆様のご期待に添えるよう担当スタッフ一同、勤しんで参ります。
今後ともご支援を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。

気管支喘息について

日常診療における小児気管支喘息治療・管理ガイドラインの活用と、吸入ステロイドやロイコトリエン受容体拮抗薬などの普及により、重症発作あるいは死亡に至る症例は減少し、入院する患者は近年減少しています。しかし重症心身障碍児(者)などの基礎疾患をお持ちの患者さんにおいては、ウイルス感染などに伴う重症発作が見られ、重症喘息の患者さんもまだいらっしゃいますので、当科では肺機能検査などを行いながら、注意深く治療・管理をしています。

食物アレルギーについて

食物経口負荷試験を積極的に実施しており、原因食物の同定や食事制限の解除の可否を決定し、過度な食事制限を行わないよう指導しています。

アレルギー性鼻炎について

ダニアレルギー性鼻炎およびスギ花粉症症例に対し、舌下免疫療法を行っております。お気軽にご相談ください。

免疫不全症について

X染色体劣性無ガンマグロブリン血症や重症複合免疫不全症候群などの原発性免疫不全症候群の患者さんの診療を行っています。当科ではフローサイトメトリーを用いた補助診断を行い、全国の専門施設と協力することでより細やかな診断および治療を提供しております。

リウマチ性疾患(膠原病)について

若年性特発性関節炎、川崎病、全身性エリテマトーデスなどの小児のリウマチ性疾患(膠原病)診療も行っています。特に難治の若年性特発性関節炎症例に対しては、抗IL-6受容体抗体(トシリズマブ)などの新しい薬 (生物学的製剤) により良好な効果が得られています。

難治性の川崎病においても新しい薬 (抗TNF-α抗体, インフリキシマブ) が使用できるようになりました。以前から川崎病症例に対してはフローサイトメトリーなどを用いてリアルタイムに病態を把握しながら適切な治療の選択に努めています。いずれの疾患においても医学的根拠に基づき、最善の治療を提供することを心がけています。

消化器疾患グループ

グループの紹介

小児科において「おなか」に関わる疾患を専門とするのが小児消化器科医です。
腹痛などの「おなか」に関わる症状で受診されるお子さんは非常に多いにもかかわらず、我が国では小児消化器科医が非常に少ないのが現状ですが、山口大学小児科では小児消化器科医が日々の診療にあたっております。

対象とする疾患

クローン病、潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患、慢性便秘症、機能性消化管障害および乳児胆汁うっ滞性疾患などの肝胆疾患を対象としています。当科では超音波画像検査、消化管造影検査、消化管内視鏡検査などを実施しています。小児外科あるいは成人領域における消化器内科のスタッフとも連携を取りつつ、日々の診療を行っています。また、中には成人期にまで持ち越す慢性疾患もありますので、長期的なプランを見据えた医療を提供するよう心がけています。

研究について

現在、当グループでは乳児胆汁うっ滞性疾患におけるビタミンK欠乏性出血症に関する研究の準備を進めています。山口県では県小児科医会の先生方が中心となり全国に先駆けてビタミンK2シロップを3ヶ月まで投与する方式を全県統一で開始しました。これらの有用性を検討するため県内のデータの集積を行う予定です。その他にも進行性家族性肝臓内胆汁うっ滞症という稀な疾患の多施設共同研究に参加しています。県内の小児消化器疾患で苦しむ患者さん、そして世界の医療の発展に貢献できるよう日々の診療、研究を進めています。

血液・腫瘍疾患グループ

グループの紹介

血液・腫瘍グループは、白血病、悪性リンパ腫、脳腫瘍、腹部腫瘍、骨軟部腫瘍などの腫瘍性疾患と貧血、血小板減少、血友病などの血液疾患の診療を行っています。
造血幹細胞移植が必要な症例などは広島大学や九州大学と連携して診療しています。白血病や悪性リンパ腫、固形腫瘍などの小児がんについては、日本小児がん研究グループの多施設共同研究に参加し、最新の治療を行える体制を整えています。

また、山口大学小児科は小児血液・がん専門医を取得するための研修施設に認定されています。

研究の紹介

悪性リンパ腫に対する臨床研究や慢性特発性血小板減少性紫斑病に対する新規薬剤の有用性を検討する臨床研究を行っています。小児の血液腫瘍疾患に対する標準的な治療法に加えて、さまざまな臨床試験や臨床研究を行いながら、常に最善の医療を提供できるよう日々努めております。

長期的フォローアップについて

近年、小児がん治療終了後の晩期合併症が大きな問題として認識されており、山口大学小児科では治療後に成人を迎えられた方のフォローアップやサポートも行えればと考えています。

循環器疾患グループ

グループの紹介

循環器グループでは、先天性心疾患,不整脈,川崎病冠動脈病変、心筋炎および心筋症など、様々な疾患を診療しています。県内では済生会下関総合病院と、県外では広島市民病院、JCHO九州病院、福岡こども病院と連携し、先天性心疾患の治療にあたっております。

当院では、心臓カテーテル検査、カテーテル治療(肺動脈弁バルーン形成術、動脈管コイル塞栓術)も施行しています。また、胎児心エコー診断を、当院の産婦人科と連携して行っております。胎児診断後、出生後の経過、治療、およびその後の方針について、ご家族にわかりやすい説明を心がけております。

研究について

循環器グループでは、川崎病をメインテーマとした臨床研究を行なっています。山口県全体の川崎病調査に関する論文が、Int J Cardiol. 2016 にacceptされました。山口県内病院小児科の先生方にご協力いただき、大変感謝しております。この研究により、ガンマグロブリン不応川崎病への追加治療において、ステロイドの使用には注意が必要であるということが分かりました。今後も、山口県内で統一した川崎病データベースを構築できるように計画していく予定です。川崎病合併症である冠動脈病変は減少していますが、未だ「ゼロ」にはなっておらず、県内全域の協力のもと、より良い検査法・治療法を確立して、冠動脈病変の発症をゼロにしたいと考えております。

神経疾患グループ

グループの紹介

主に5名で当院の入院・外来、および県内関連病院の神経外来を担当しています。
現在小児神経専門医は3名です。山口大学は松重武志を責任指導医として小児神経専門医研修認定施設に登録されており、小児神経専門医の申請資格を得る事ができます。またてんかん専門医も3名で、こちらもてんかん専門医研修認定施設として登録されています。

今後も患者様とご家族へのよりよい診療・支援の提供のために、県内の小児科関連施設、他科や療育機関、リハビリ施設などとも密な連携を行っていきたいと考えております。

外来診療に関して

外来診療部門は、診療対象疾患としてはてんかん、脳性麻痺、発達障碍、末梢神経・筋疾患、代謝・変性疾患など多岐にわたります。また、近年は発達障碍の紹介が増加し、診療予約がすぐに取り難い状況で皆様にはご迷惑をおかけしております。心理外来では臨床心理士が知能検査、カウンセリングなど行っております。訓練は近隣の施設にお願いしております。

入院診療に関して

入院診療部門は急性脳炎・脳症、髄膜炎、意識障害などの急性神経疾患や難治てんかんのビデオ脳波モニタリング、内服調整、各種神経疾患の精査などを中心に診療しています。MRI/MRA、CT、SPECTなどの画像検査、脳波・聴性脳幹反応・誘発筋電図などの電気生理検査、筋生検、研究室レベルでの免疫学的検査など、多様な手法を用いて診断や評価を行い、適切な治療に努めています。集中治療が必要な超急性・救急疾患から慢性疾患まで幅広く入院で扱っており、山口県内広域からご紹介を受けております。

連携に関して

山口大学小児科の神経疾患グループは山口大学てんかんセンターの一部門としても機能しており、他診療科のスタッフと連携して診断・治療にあたるだけでなく、市民公開講座などの教育活動も行なっています。

昨今の遺伝学的検査の増加に伴い、遺伝カウンセリングの重要性が増しています。小児科も院内の遺伝診療部の活動やカンファレンスに積極的に参加しています。

研究に関して

神経の病気には、感染や炎症など免疫反応が関与する難治性疾患が多数あります。その仕組みを解明することは治療法につながります。以前より、炎症性サイトカイン測定やフローサイトメトリー法を用いた免疫学的解析を行っており、他施設からもサイトカイン測定依頼を受けています。急性脳炎・脳症、亜急性硬化性全脳炎(厚生労働科学研究委託事業)、難治性てんかんにおける神経組織由来蛋白や炎症関連蛋白を用いた病態解析およびバイオマーカー研究、最近では急性弛緩性脊髄炎の病態解明研究にも着手しています。神経難病をもったお子さんの治療に少しでもお役に立てればと願っております。

腎・泌尿器疾患グループ

グループの紹介

腎臓疾患が発見されるきっかけは様々です。
胎児期の超音波検査で異常が見つかった、学校検尿で異常を指摘された、尿が赤いのに気付いた、むくんだ 等。当グループは、小児腎臓領域の疾患全般を対象にしており、患児一人ひとりに早期から適切に対応できるよう努めています。

治療は、最新最良の医学知見に基づいた標準的医療を基本とし、先進的治療にも対応できるよう日々研鑽を積んでいます。また、透析、移植、腎臓内科への移行(transition)など、他科・施設と多くの場面で連携して診療を行っています。

平成29年に診療した児の疾患リスト

腎炎・ネフローゼ症候群(IgA腎症、紫斑病性腎炎、ループス腎炎、アルポート症候群、微小変化群、巣状糸球体硬化症、膜性増殖性糸球体腎炎、膜性腎症、C1q腎症など)、溶連菌感染後急性糸球体腎炎、溶血性尿毒症症候群(非典型、腸管出血性大腸菌による)、ファンコニー症候群、尿細管性アシドーシス、シスチン尿症、尿路感染症(急性腎盂腎炎、急性巣状細菌性腎炎)、先天性腎尿路奇形(膀胱尿管逆流、水腎症、重複腎盂尿管、尿管瘤、馬蹄腎)、低形成腎、異形成腎、常染色体優性多発性嚢胞腎、常染色体劣性多発性嚢胞腎、多嚢胞性異形成腎、薬剤性腎障害、尿路結石、夜尿症、遺尿症、急性・慢性腎不全 など

腎生検

診断・治療方針決定や治療効果を判定する目的で実施しています(年間20~30件)。 年少児には、より安全にかつ児の不安を軽減する目的で、平成28年から麻酔科の協力のもと全身麻酔下で実施しています。

血液浄化療法

持続血液透析濾過法、血漿交換療法 等、主に集中治療室にて行っています。

慢性腎不全

末期腎不全の保存的治療、腹膜透析導入・管理を行っています。 腎移植は、東邦大学医療センター大森病院、年長児の場合は当院泌尿器科に依頼し、2~3年間に1名の児が腎移植を受けられています。 移植後は、移植施設と連携して管理を行っています。

小児泌尿器科専門医

先天性腎尿路奇形(膀胱尿管逆流、水腎症など)は、当院小児泌尿器科専門医と連携して治療方針を決定します。

病棟保育士、院内学級

長期入院を要する腎疾患児も多く、精神的・社会的サポートが重要です。当院では、病棟保育士2名が専門性をもって児をあたたかく見守ってくれます。また一定期間以上の入院が必要な場合、院内学級への転入も可能です。

研究

「尿路感染症の病態解明」 尿路感染症は高頻度にみられる病態で、重症の場合、腎障害を来します。
当グループは、感染様式の違い(急性腎盂腎炎あるいは急性巣状細菌性腎炎)で腎へ及ぼす影響が異なる可能性を考え、特にサイトカインを用いて病態解明を行っています。これまでに、急性巣状細菌性腎炎では、急性腎盂腎炎に比べてインターフェロンγを含めた血清サイトカイン濃度が高値となることを見出し報告しました。さらに、急性巣状細菌性腎炎で高サイトカイン血症を来す機序を解明し、治療法を確立すべく研究を行っています(基盤研究(C) 17K10142)。

腎臓グループに関して、ご質問等ございましたら下記までお問い合わせください。
mizutani@yamaguchi-u.ac.jp 水谷 誠

内分泌・代謝疾患グループ

グループの紹介

山口大学小児科の内分泌代謝グループの構成員は、関連病院出向者を含めて、福田(長門総合病院)、脇(周東総合病院)、太田(山口県立総合医療センター)、安部(山口大学), 鳴海(山口大学)の5名です。

安部、鳴海は内分泌外来を週1回行い, 徳山中央病院、済生会下関総合病院に出向して、月1回内分泌外来を行なっています。福田は週1回山口大学に非常勤医師として内分泌外来をしています。太田は山口県立総合医療センター、脇は周東総合病院でそれぞれ内分泌患者の診療をしています。

対象疾患について

成長障害

小児の内分泌分野の特徴は成長障害です。低身長、成長率の異常があります。その原因は成長ホルモンの分泌異常以外も多岐にわたり亜鉛不足や栄養障害、GH遺伝子の異常などの先天的な異常、下垂体構造の異常などがあります。成長曲線が学校検診で使用されるようになり紹介患者数は近年増加して来ています。SGA性低身長は出生時に在胎週数に比して低身長、低体重の児で3歳の時点で成長の改善がない児を対象として成長ホルモンによる治療を行います。

1型糖尿病

20歳までの1型糖尿病の患者は山口県内に100名程度いらっしゃり、年3-4人が新規に発症しています。そのほとんどが内科も含め山口大学の関連の医師による治療を受けています。山口県には山口会という患者家族会があり、その活動を当院の第3内科、栄養治療部、看護師、山口県立大学の学生サークル、大山キャンプのスタッフの方々と連携して行っています。年間スケジュールは3月に日帰り交流会、6月に講演会,10月に大田原自然の家でキャンプを行います。この準備のために毎月1回のミーティング、夏休みにはスタッフでプレキャンプを行います。県立大学の学生の方との勉強会もあります。当科でのとりくみとしては栄養治療部に協力してもらい県内の糖尿病患者のカーボカウント導入を行っています。また中学生、高校生の患者を対象とした糖尿病合併症の検査入院も行っています。

甲状腺疾患

新生児領域の先天性甲状腺機能低下症、学童期のバセドウ病、慢性甲状腺炎が中心です。外来では2011年以降、福島県から避難されて来た児の甲状腺エコー調査も行っています。

副腎疾患

先天性副腎過形成症候群、先天性副腎低形成症候群、副腎腫瘍後のステロイド補充治療をおこないます。

先天性代謝異常

新生児マススクリーニングで疑われた患者を中心に診療しています。高アンモニア血症に対して安息香酸静注、腹膜透析による治療が可能です。

研究について

  1. 2018年4月より小児インスリン研究会(多施設共同研究 第5コホート)に参加することになりました。同時に、当科独自の調査研究も行っていく予定です。山口県の特徴として県内の患者の把握が可能であるということと、当科の特色を生かし1型糖尿病患者のサイトカインとホルモンのクロストークをテーマとした研究を行っていきたいと考えています。
  2. 閉塞性睡眠時無呼吸症候群での扁桃切除術後の身長、体重の変動に関して調査研究を行っています。

新生児疾患グループ

グループの紹介

総合周産期母子医療センターNICU・GCUのスタッフは、高橋、木村、藤本、松隈(育児休暇中)の4人を中心に、小児科の他グループに所属する医師あるいは産婦人科医師のサポートを受けながら、病棟体制を維持運営しております。
我が国では少子化が問題となっておりますが、新生児期に医療を必要とするお子さんの数は増加の傾向にあり、あらゆる新生児の疾患にお応えできるようスタッフ一同日々精進しております。
我々とともに山口県の新生児医療を支えていただけるスタッフも随時募集しておりますので、ご希望がございましたら、下記までご連絡いただけますと幸いです。

総合周産期母子医療センター NICU・GCU病棟医長
高橋:p-sama@yamaguchi-u.ac.jp

  • 新生児回診
  • 授乳
  • ドクターヘリでの新生児搬送

診療の紹介

ハイリスク新生児の蘇生

当センターNICUでは、超低出生体重児や超早産児に対する急性期医療、重症呼吸障害に対する一酸化窒素吸入療法、血液濾過透析、虚血性低酸素性脳症に対する脳低体温療法などの高度な新生児医療を提供しています。また、GCUでは、NICUで急性期治療を終え、退院に向けた体重増加などのフォローを行うお子さん、一般の開業産科医院で出生し呼吸管理や感染症の治療などが必要な正期産新生児、あるいは新生児搬送において比較的リスクが少ないLate pretermのお子さんになどに対する医療を提供しています。

医療の進歩に伴い、我が国の新生児医療における新生児死亡率の低さは世界一です。当施設においても、ただ救命を目指すだけでなく、後遺症のない生存「intanct survival」を目指した医療を常時提供しております。

新生児フォローアップ外来

新生児フォローアップ外来では、主にNICUまたはGCUを退院したお子さんのフォローをしております。大学病院の特徴を生かして、さまざまな診療科の協力のもとで、外来フォローをしています。在胎週数32週未満、あるいは出生体重1,500 g未満で出生したお子さんにおいては、3歳で新版K式、6あるいは9歳でWISC-Ⅳを行い、発達の評価を行っています。発達検査は臨床心理士である國廣先生に評価していただいております。

研究に関して

新生児グループスタッフのうち3名が大学院に所属し、診療と並行しながら研究活動を行っております。山口大学小児科学講座では現在、喘息と感染症とに関する基礎実験の成果が出たところです。今後はこの基礎研究を生かし、新生児の呼吸器あるいは感染性疾患に焦点を当てた研究を進めていく予定です。これらの研究が新生児グループのますますの推進力になり、最終的には患者さんの予後改善に貢献できればと考えております。